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新年度の幕開け

 震災から3週間余りが経ちました。被災地の被害状況が克明に分かってくるにつれて被害の傷跡の大きさを実感しないわけにはいきませんが、ほんの少しずつであっても復興が進みつつあることは有り難いことだと思います。

 関東地方においてはここ数日間、計画停電が無くなり、電車もほぼ通常通りに運行されるようになり、日常を取り戻してきました。計画停電が始まってから夕方や夜に外を歩くと、電気の明かりがついている部屋が1家に1つのお宅が多く、皆さんが節電されている様子が窺われます。

 わが家でも暖房を使うときには一つの部屋に集まるようになりましたし、なるべくエネルギー効率がよい使い方を色々と画策しています。また、これまで数回、計画停電で電気が切れたことにより、頭では分かっていても電気を当り前のように使っていたことを反省する良い機会となり、一層、節電を心がけるようになりました。

 また、それほど回数は多くなかったのですが昼間に停電したときには太陽光発電装置が活躍してくれました。普段は電気系統に接続されているのですが、停電時は独立させて太陽光によって発電された電気をそのまま使うことができます。(最大1.5kwまで)2006年に同装置を設置して以来、初めて独立させて使ってみて、この装置の偉大さを改めて実感しました。

 今年の夏は電力がだいぶ足りなくなるとのことで、企業も家庭も相当節電する必要があると言われています。が、私はこのことは今の社会にとってはむしろ必要なことだと思います。夏のデパートやスーパー、そしてオフィスや電車の中は寒くて、私などは上着は欠かせないほどですが、これは私だけではなくて、夏になると冷え性の人がよく外来に来るというお医者さんの話が以前、新聞に載っていましたので、夏の冷房に悩んでいる人は結構多いのだと思います。これは明らかに常軌を逸しています。夏は暑いもの、冬は寒いものという、極めて当り前の事実を受け入れることが必要だと思うのです。昨年のような異常に暑い夏であれば多少、クーラーを使う必要があるにせよ、節度をもって使う良い訓練になると思います。

 また、エネルギーの視点からも、決して枯渇することがなく、地球上に溢れるほど存在している自然エネルギーを使わない手はありません。アメリカの著名な環境活動家のレスター・ブラウン氏は、最新刊の『WORLD ON THE EDGE』(瀬戸際に立つ地球、という意味になりましょうか)の中で、「business as usual」、つまり「従来通り」を続けていたら文明は危機に瀕するが、自然エネルギーの可能性が計り知れないことを、具体的な数字をもって示してくれています。その中のいくつかを翻訳して紹介します。

・米国科学アカデミー(US National Academy of Science)が2009年に発表した世界の風力についての調査によると、陸地における風力発電は、現在あらゆる手段によって発電され使用されている電力の40倍も発電できる能力がある、とのことである。(117~118頁)

・2000年から2010年までの10年間で、驚くべき事に風力による発電量は1万7千メガワットから20万メガワットにまで増えた。(118頁)

・アルジェリアには、同国の砂漠にふりそそぐ太陽のエネルギーだけでも世界全体の経済をまかなう分だけある。これは数学上の誤りではない。同じような指摘がしばしば太陽光発電に関する記事には見られる。すなわち地上に1時間ふり注ぐ太陽光は世界経済1年分をまかなう量である。(124頁)

・The American Solar Energy Societyは、アメリカ南西部における太陽熱の資源だけで現在、アメリカで使用している電気の4倍以上にも及ぶと言っている。(125頁)

・地上から6マイル(約10km)の層には世界全体の石油、石炭の埋蔵量を合わせた分のエネルギーの実に5万倍ものエネルギーが埋蔵されている――これは驚くべき統計データだ。これほど豊かなエネルギー源であるにもかかわらず2010年半ば現在、世界における地熱発電はわずか10,700メガワット分しか利用されていない。(127頁)

・2006年にマサチューセッツ工科大学(MIT)による各種学問分野合同の科学者、技術者13人が地熱発電能力の可能性について試算を行った。石油やガス会社が掘ったり、原油の二次回収で使う技術も含んだ最新の技術を含む、改良された地熱発電装置を使うと、地熱発電はアメリカでの電力需要の2,000倍をもまかなうことができる、とのことだ。(128頁)

 4月1日から新しい年度になりました。わが国における、目の前にある困難は計り知れませんが、化石燃料や危険を伴う原子力発電に頼らず、自然の恵みに私たちの心を振り向け、その恵みに感謝しながら、節度を持ってエネルギーを使う社会へ一歩を踏み出すことが、今回の震災で犠牲になられた方々への弔いにもなり、「神の御心」にかなう道であると思います。

 新しい年度も、「神意」を思いに、言葉に、生活に表現していくよう、努めたいと思います。

 阿部 哲也

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コメント

「日常」と思っていたことが、実は感謝しきれぬほどの奇跡の重なりであったことを思う日々です。みんなが安心して暮らせる日々が早くおとずれますように。
日本はいろんな技術で世界をアッといわせる力のある国ですし、エネルギー問題でも世界中とその恩恵をわかちあえる日を信じています。

投稿: うろこ | 2011/04/06 12:50

うろこさん、

 コメント、ありがとうございます。

 全くおっしゃる通りで、この世に生まれてくるときから「奇跡の重なり」であり続けていることを、私たちも含めて多くの人が思い出す機会になったと思います。

 技術についても、本当にその通りで、あとは政治的な意志があるかどうかだと思いますが、政治家を選ぶのは私たち国民ですので、1人1人がどういう暮らしを望むのか、真剣に向き合うことが問われているのだと思います。

 阿部 哲也

投稿: 阿部 哲也 | 2011/04/06 13:14

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