アルゼンチンとの親善試合

 サッカー日本代表が、親善試合とは言え、10月8日に埼玉スタジアムで行われたアルゼンチン戦に1対0で勝利したのには、本当に驚きました。これまでの6回の対戦では、スコアこそ僅差であっても、実力の差は歴然としており、あちらが一度リードすれば、スター選手はベンチに退き、残りの選手達も無理をしないで、点を取られないように要所を押さえる――という試合運びをされていたと思います。

 もちろん今回はあくまでも親善試合であり、相手は10時間以上のフライトで来日し、モチベーションもそれほど高くはない。それはそうですが、相手の監督は暫定監督で正式な監督になるためにはどの国に対しても取りこぼしたくはありませんし、現在世界のベストプレイヤーと言われるリオネル・メッシをはじめ、世界のトッププレーヤーをそろえたタレント軍団で、最近の親善試合でワールドカップ優勝国スペインを4対1で撃破した強豪チームが、どこが相手でも、負けても良いと思っているはずはありません。

 対する日本はザッケロー二監督の初陣ですからまだ、監督の打ち出すコンセプトもあまり浸透しないだろうし、、ワールドカップで守りの要となった闘莉王、中沢、そしてMFの松井も出ていないということで、私は2、3点取られるのは覚悟していました。

 ところが、結果としてはワールドカップのときの連帯感、連携、そしてモチベーションはそのままかそれ以上で、新しい有能な戦力が加わり、指揮官の適切な指示を選手がだいぶ理解していた、ということのようです。

 そして歴史的な勝利をしたにもかかわらず、監督も選手も浮かれることなく、つまり現在の実力が冷静に見つめていて、次に進もうとしているのに、さらに驚いてしまいました。ザック監督は、選手を称え、感謝をしながらも、次の日には前日の復習のため修正点を集めたビデオを見せて、“猛反省会”をしたそうです。

 これが、ワールドカップ前には、なすすべ無く、韓国、イングランド、コートジボワールに立て続けに敗れた同じチーム(しかも、メンバーは大きく変わっていない)かと思うと、何がこれほど違うのかと、考えないわけにはいきません。

 ワールドカップを戦ったメンバーに、大会後に加わったメンバーに香川真司という21歳の選手がいます。今、ブンデスリーグ(ドイツ)で大活躍中の“ワンダーボーイ”ですが、彼はJ2という、二部リーグだった選手で、大会後にドイツに渡っています。香川選手は、ドイツの指導者が育てかというと、そうではなさそうで、ブンデスリーグという非常にレベルの高い場所で、才能を上手に開花しているようです。

 それで私が思うのは、日本には質の高い選手はいるのだけど、それを見出し、適材適所に配置できる指導者がいない、あるいは非常に少ない、ということだと思います。ザック監督が言っていました、「日本の選手のクオリティはとても高い。ただ日本人はそれを知らないだけだ」という言葉がそれを物語っているような気がします。

 指導者は、単に「自信を持て」というだけでは足りません。どのような選手を選び、その選手が全体の中で生かされ、全体も機能するようポジショニングをし、相手に従って、ゲームプランを立てる。ものすごい複雑な仕事です。

 ザック監督は病気を理由に20歳で選手を引退して、指導者となるための猛勉強を重ねて、下部リーグの監督で実績を積み、ACミラン、インテル・ミラノ、ユベントスという世界に名だたるイタリアのビッグクラブを指揮してきたそうです。選手達は、監督の分析力のすごさにはびっくりしているようです。

 これからどのように指揮をしていくか楽しみですが、指導者の育成という面でも、力を発揮してくれるといいな、と思います。

 阿部 哲也

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平常心

 シアトル・マリナーズのイチロー選手が、史上2番目のスピードで、大リーグ通算2,000本安打を達成しました。イチロー選手に関する著書のある2人の専門家(脳生理学と臨床スポーツ心理学)の言葉には、とても考えさせられるものがありました。平常心を保つ秘訣も書かれていて、ためになりました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090907-00000067-mai-base

 阿部 哲也 拝

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WBC

 昨日(22日)は、こちらに来ておそらく始めて、テレビでスポーツ中継をライブで見ました。ハワイにはメジャーリーグの球団がないので、西海岸や東海岸で行われているナイトゲームの試合は生では見られないですし、サッカーの試合もないし……そもそもテレビを見ることもほとんどないので、スリルを味わいながらテレビを見るのはとっても久しぶりです。

 今回は日本とアメリカがWBCの準決勝で対決する絶好の機会であり、22日の午後は有り難いことに時間が空いたため、めでたくスリルを味わえたわけです。と言いましても、日本の放送ではなく、アメリカの放送です。日本の試合をアメリカ側から見るのは何か不思議な気がしました。

 試合そのものはアメリカが先行したものの、先発の松坂が調子がそれほどよくないなりにも踏ん張ってゲームを作り、日本の打線が相手のミスをつき、細かく繋ぐ“お家芸”で勝利を収めました。が、アメリカが本気でこの大会のタイトルをねらっているようには思えません。一流の選手達は出ていますが、チームとしての結束がなく、肝心なところでエラーが出るなど、緊張感を欠いているように思いました。

 前回のWBCで問題となった審判の質については、今回は経験豊かな、大リークの審判が担当したとのことで、微妙な判定はなく、公正で的確なジャッジは見ていてとても安心しました。アメリカと日本のゲームをアメリカ人が審判をするのは不公正な感じがしないではありませんが、それでは韓国や中国、イタリア等の人たちが審判をしたらどうなるか……と思うと、やはりオールスターやワールドシリーズを経験しているメジャーの審判の方が、現時点では信頼を置けると思いました。

 そもそもアメリカではあまりこの企画盛り上がっていません。選手も辞退者が続出していますし、監督も、昨年の優勝監督や、長年ヤンキースで指揮を振り、今年からドジャースを率いているトーリ監督など実力者が候補に挙がってこなかったと思います。

『The New York Times』の記事を2本読みましたけど、「日本はチームとして習熟していた」「アメリカは取り組みが遅い」「日本や韓国は野球の基本に忠実だ。アメリカは筋肉増強剤の使用に象徴されるように『力』に頼った野球に偏っている」「メジャーリーグは世界最高のリーグだが、それはもはやアジアや中南米からの一流選手が来ているからではないか」「昨日の負けは準決勝という一試合に負けたのか、それとも野球というゲームそのものに負けたのだろうか」などの意見が書かれていました。

 また、色々な事情でこうなったのでしょうが、日本が行った10回ゲームのうち5回が韓国戦とは、ちょっと興ざめです。が、韓国の底力はたいしたものです。韓国でプロ野球が始まったのは1982年だそうですから、歴史は至って浅いのです。当時は、日本で活躍できなくなった選手が韓国に行って十分プレーが出来ましたから、それを考えると、素晴らしい躍進力。きっと、韓国では「デーハミングック」の大合唱が行われていることでしょう。

-TA

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王さん、ありがとう

 ダイエーホークスの王貞治監督が今季限りでユニホームを脱ぎました。子どもの頃はジャイアンツの大ファンで、王選手が756号のホームラン世界記録を樹立したときもテレビにかじりついて見ていましたし、王監督が引退したときは本当に寂しい思いをしたのを覚えています。そして、引退の挨拶の前後に、スタンドの四方に深々と頭を下げていたのもとても印象に残っています。また、王選手の最後のホームラン、868本目のホームランは私の誕生日である10月12日に放たれたものでそのときのこともよく覚えています。

 ONと言われた長嶋さん、王さんに共通していると私が思うのは、人の悪口や悪いことを決して言わない、そして、ファンを心から大切にするということです。お2人がテレビで解説したり、監督として口を開いたとき、選手を悪く言ったという記憶は私にはありません。もちろん激励や叱咤はあるでしょうけど、その裏にその何十倍もの愛情が見え隠れするどころか、ありありと見えます。

 お2人にまつわる逸話は沢山あるでしょうが、私が印象に残っているのは、お2人ともまだ選手だった時代、試合中強い雨が降ってきたときのを見て言った次の言葉です。

 長嶋「これだけお客さんが来てくれているんだ。お客さんのため
    にも試合を続けるべきだ」
 王 「これだけ沢山集まったお客さんを濡らしてしまって、不快
   な思いをさせたくない。試合をやめるべきだ」

 結論は正反対なのですが、思いが一つであることをよく物語っていると思います。

 王さんの引退に際しては沢山の人がコメントを寄せていますが、愛弟子でマリナーズの城島選手のコメントでとても印象に残っているものがありました。それは、敬遠のサインが出ていてピッチャーが投げたボールが大きく外れて、城島捕手はジャンプして捕球したそうです。それでベンチを見ると監督の王さんも一緒にジャンプしていた、というのです。また、「俺たちにとっては今日の試合は140分の1だけど、一生のうちで今日しか野球を見に球場に来ない人もいるだろう。だから全力で戦うんだ」とよく言われたというのです。

 私は小学生の頃、父に連れられて横浜スタジアムに巨人―大洋戦(当時)を見に行ったことが一度だけあります。王さんが引退する前の年、たしか昭和54年だったと記憶しています。私の故郷静岡では巨人の公式戦が行われないため、巨人の試合を生で見たことはそれまで一度もありませんでした。その日は何ヶ月も前から心待ちにしていて、当時はまだ乗るのが珍しかった新幹線に乗り、心ときめきながら横浜スタジアムに向かったのを覚えています。同球場はできたばかりで人工芝が照明に照らされてとてもきれいで、野球大好き少年にはもう最高の日でした。しかしながらあいにく、その日の巨人はいわゆるローテンションの谷間で、序盤から大洋に大量点を取られ、見ていて全然面白くない試合でした。しかし最後の最後に王さんは打ってくれました、ホームランを。私は、城島選手のコメントを読んで、真っ先のその日のことを思い出していました。

 もちろんワールド・ベースボール・クラッシックのときの神懸かり的な采配も忘れることができません。それまで不振を極めていた現在カブスに所属する福留選手は準決勝、決勝に代打で起用され、準決勝の韓国戦で7回の表に貴重な先制ホームラン(決勝点)を放ち、そして決勝で9回の表にまたまた貴重な追加点を叩き出すヒットを打ったのは、ご本人の活躍もさることながら、その采配も語りぐさになっています。しかし王さんは福留選手の練習中でのスイングがそれまでと違っていることを確認し、代打で使おうと思ったのだそうです。

 日頃感情を出さないマリナーズのイチロー選手が、ホームランを世界一打ったとか、そういうことではなく、この人に恥をかかせられないと思わせる人と言うのも、外から見ているだけでも頷けるような気がします。また出場した若い選手が“世界の王”に気兼ねなくプレーできるよう、ご自身から話しかけていかれ、また、「野球を楽しもう」と声を掛けられるなど、一流選手を結束させる素晴らしい素質をお持ちなのだと思います。

 また辞任会見は一部しか見ていませんが、冒頭の数分間だけでもお人柄がよく表れていました。ご自身がユニホームを脱ぐにあたり、チームの不振を全て自分の責任とされていること、まぁこれはそういう監督は沢山いるでしょうが、やめるにあたって、球団の事務局サイドにも配慮されているのです。オーナーやオーナー代行と王さんとの間にたって調整を図った常務取締役に対して、「竹内常務が間に入って一番苦労されたと思いますが」という主旨のことを言っておられました。自らの辞任会見でそこまで人に気を配るのか、と驚きました。楽天の野村監督が「王を悪く言う人はいない」というのもよく分かります。

 いつしか巨人ファンというわけでもなくなり、野球そのものに熱中しなくなって久しいのですが、王さんの監督辞任にあたり、関係者の皆さんのコメントを読んだり聞いたりして、久々に野球を好きだった頃のことを思いだし、また、王さんのお人柄にひときわ感動した次第です。名選手、名監督ならずの通念は少なくとも王さん、野村監督には当てはまらないようです。

 王さんはもう次のお仕事に向けて張り切っておられるようです。いつまでも野球少年のようなキラキラ輝いた瞳とひたむきな姿勢をぜひ、見習いたいと思います。

-TA

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野茂投手の引退

 もう旧聞に属することになってしまいましたが、日本人メジャーリーガーのパイオニア、野茂投手が先日引退を発表しました。野茂投手とは年齢が同じであることから、同投手が渡米したときからずっと活躍を応援していました。と言っても、野茂マニアであるわけではなく、毎日の新聞をチェックし、当時はスポーツニュースでも彼の登板があればいの一番に報道されていましたからそれを見たぐらいです。

 それにしても一年目はすごかったです。野手はもとより、本格的な先発投手としては初めてのメジャー挑戦でいきなり13勝をあげ、事情があったとはいえ、オールスターで先発をしてしまったのですから。それと、コロラドでのノーヒットノーラン。高地でボールがよく飛ぶという投手には悪条件の中、私の記憶が正しければ試合時間が2時間ぐらい遅れて午後9時頃のプレーボールだったにもかかわらず成し遂げた偉業による衝撃は今でも鮮明に覚えています。

 そして彼の活躍と同時に伝わってきたのはチームメート、そしてアメリカのファンの温かさでした。彼のようなフロンティアスピリットに満ちた人を、どこの国の出身であれ、温かく応援するアメリカ国民に心から感謝と賛同の拍手を送ったものです。当時ドジャースで監督をしたラソーダ氏は、自身はまぐろしか食べられないのにもかかわらず、「野茂、寿司を食いに行こう。寿司はうまいなぁ」とよく彼を誘ったそうです。

 挑戦者に対する温かい励ましの姿勢は、この国に住んでいるとそこここで感じることができます。色々な国から来て苦労している人も少なくないので、挑戦者に対してはそういう人々からの支持も加わります。

 しかし一方、自分の意見をはっきり持たない人は、あるいははっきり言わない人は肩身が狭くなります。私はときどき、日本語を話しているときの自分と英語を話しているときの自分は人格が違うことを感じるときがあります。英語の語彙や表現力が少ないという理由もありますが、英語で話しているときの方が色々とハッキリ物事を言いますし、結論を最初に持ってきてそれから理由を説明する傾向がある気がします。自分なりに、この国の人々に思いを伝えるにはどうしたらいいのだろう、と試行錯誤している自分を、少し遠巻きから見る思いです。

 話はそれましたが、現在活躍している日本人大リーガーの先駆けの引退は、日本人が大リーグで活躍することが“ニュース”になる時代の幕引きのような気がします。そして彼の活躍を見ていると、日本人は日本人らしく、自分は自分らしく正々堂々と生きることが、この国の人に認められ、社会に受け入れられる生き方のような気がするのです。もちろん、郷に入っては郷に従えで、こちらの文化に合わせる部分があることは当然です。

“パイオニア”の引退は、アメリカ社会でどのように生きていくかについて示唆を与えてくれた気がしました。

-TA

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